ブレーンストーミングはオワコンなのか?

meeting 思考ツール

あなたはブレーンストーミング、やったことはありますか?私はあります。

いつやりましたか?そう、研修ですね。

ではもう1つ、あなたにお尋ねします。

「あなたは、研修以外で、ブレーンストーミングやったことはありますか?」

少なくとも私は、ありません🌚

「ブレーンストーミングて、いつも講師の先生が『これは皆さんの自由な発想力を高めるトレーニングです!』て言ってるけど、それ現場で使ったこと無いよ」

そう思いませんか?ブレーンストーミングて、実は役に立たない?そんな風に思ってしまいますよね。

この記事は、ブレーンストーミングをさんざん研修でのみやらされてきた感想を元に、「なぜ今もブレーンストーミングは存続しているのか?」について書いていきます。

結論を先に言うと、本当に素晴らしいアイデア出しに使うのには少し物足りないですが、ブレーンストーミングを現場に持ち込み、根付かせることができたら、その職場はきっと素晴らしくなります、というものです。

最後までお読み頂けましたらとても嬉しいです。

ブレーンストーミングとは

まずはブレーンストーミングの基本についておさらいしましょう。ブレーンストーミングとは「複数人で行うアイデア出し」のことです。そこにはルールが有り、

  • 否定しないこと
  • 実現可能性を考慮しないこと
  • とにかく数を出すこと

といったようなものが代表的です。ブレーンストーミングには派生型がいくつもあり、恐らく一般的に浸透しているタイプはいわゆる「フリーフォーム」型といったものでしょう。つまり、アイデアを出す際に何ら制限を設けないというものです。

答えの出し方にいくつかの縛りや、答えられる範囲を限定したものもブレーンストーミングと定義されているようです。例えば

  • なぜなぜ分析
  • SWOT分析
  • 宿題形式のブレーンストーミング

「それもブレーンストーミングなのか」と思われるかもしれませんね。ブレーンストーミングは「複数人でアイデアを出す」行為を広く指すため、別の思考ツールとして確立しているものについても、広義ではブレーンストーミングに含んでも差し支えない、といったところでしょうか。

ところでブレーンストーミングは一人ではできないのでしょうか?答えは「No」です。なぜなら、ブレーンストーミングは「複数人で」行うと定義されているためです。代案として発展したのが、一人でもアイデアを発散できる「マインドマップ」です。当ブログでたくさん記事を書いてきたとおり、マインドマップは「一人で行うブレーンストーミング」という表現がピッタリです。呼び方はどうであれ、アイデアを出す行為は一人でも、複数人でも可能ということですね。

マインドマップは一人で行うけれど、アウトプットをわかりやすくツリー形式で書き出していくため、それを何人もの自分が見て意見している、といったような、まるで分身の術を使ってブレーンストーミングをしているような感覚に近いと思います。

ブレーンストーミングのメリット、デメリット

ブレーンストーミングは、複数人集まらないと実施できないため、好きなタイミングで行うことが難しい性質を持っています。一人でいつでもできるマインドマップと比較して、そこは大きなデメリットですね。

「じゃ、マインドマップだけやってればいいじゃん」と思いがちですが、ブレーンストーミングには大きなメリットがあります。それは「絶対に自分では出てこないアイデアに出会える」というものです。ブレーンストーミングをするたびに、不意打ちのように思ってもみなかったアイデアがメンバーから出てきます。しかも、毎回、必ずです。そこで体験する驚きはいつになっても面白く、とても刺激になります。

比較対象としてマインドマップにも、面白いところはあります。出たアイデアは全て自分で出したものであるため、たいしたアイデアでなくとも「これ、本当に自分から出たんか」という妙な驚きを得られます。また、自分から出たアイデアは何となく愛着がわく(わいてしまう)というものです。

アイスブレイク

少し話は逸れてしまいますが、研修にはアイスブレイクも付き物ですよね。自己紹介で自分の所属や名前を言う以外に、ある種無理やり付け加える一言が、アイスブレイクです。あの瞬間は何となく気まずくて恥ずかしくて、できれば繰り返し体験したいものではないですが、アイスブレイクはメンバー同士が打ち解けるためにはどうしても避けて通れない登竜門のようなものです。

そして、アイスブレイクからのブレーンストーミング。もはや研修の定番メニューですね。

ブレーンストーミングもアイスブレイク化している?

研修でアイスブレイクのあと、講師からお題を与えられてチームでブレーンストーミングに臨むという流れ、既に一般化していると思います。研修でアイスブレイク直後に、隣の席の人と話が弾むことは有っても少しだけではないでしょうか?本格的に話が盛り上がるのは、ブレーンストーミング後だったりしませんか?

そうなのです。ブレーンストーミングはチーム内で問題を共有して解決に向かって協働するというプロセスを経ているため、チームの結束が固める意味でも有意義なのです。

「ブレーンストーミング後に世間話が始まった。もっと話したくなった」という経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか?

つまり、実際のところ、アイスブレイクに加えてブレーンストーミングまでがアイスブレイクなのではないか?というのが一般的なのではないかと思います。アイスブレイクとは言葉通り「氷を砕く」ことです。氷は砕いただけでは使い物にならず、それを次のプロセスに用いてこそ、本領を発揮するものです。その次のプロセスこそ、ブレーンストーミングなのです。

さぁ、ブレーンストーミングするぞという機会は有る?

ブレーンストーミングはアイスブレイクの一貫である、という理論の展開になってしまいました。でも実際のところ、その意味合いが強いのは確かだと思います。

また、ここがこの記事の本題なのですが、あなたの職場は、日頃の業務の中で「さぁブレーンストーミングするぞ、みんなアイデア出して」と上司が張り切って言うような文化でしょうか。

私は冒頭にも書きましたが、ありません。皆無です。

ブレーンストーミングの性質上、かしこまってやるのは余り得策ではないというのもあります。なので「さぁブレーンストーミングするぞ」と意気揚々と宣言するマネージャーが居たら、それは少し的はずれなのかもしれません。

「本当に自分は実際の業務中にブレーンストーミングをやってないのか?」という疑問に立ち返って考えた時、「実はこれ、ブレーンストーミングだったんじゃないか?」と思える場面が浮かびました。それは、メンバーに対して「これ、どう思う?」、「この問題、どうしたら良いと思う?」と質問した時です。

なぜ、それがブレーンストーミングだったのか?と考えると、メンバーに対して疑問を投げかけるという場面というのは、ブレーンストーミングが成立する諸条件を満たしているからだと思ったからです。諸条件とはつまり

  • 課題を共有できている。会話中の「これ」が課題であり、「どう思う?」が求める解決策である
  • 複数人居る
  • 「どう思う?」といったオープンな質問により自由なアイデア出しが容認される

といった感じです。研修ではある種無理やり与えられるお題が、仕事の現場では(無理やりであるにせよ)解決すべき問題としてお題に据えられる、と言ったイメージです。

現場のブレーンストーミングはトップダウンが良い

今から書くことは、私の仕事の現場の弊害をもろに伝えてしまうかもしれないので少し気が引けますが、オープン型の質問が前提となるブレーンストーミングを催すのは、上司から部下に対して開始した方が無難だと思います。

恐らく、上司から部下への質問というのは、日頃はクローズ型、つまり「はい」か「いいえ」で答えを求めるケースが圧倒的に多いと思います。部下の視点としては、たまに上司から意見を求められる事は有っても、その場合には選択肢は非常に狭い、あるいは既に上司の脳内で答えは決まっている、といった、ある種「部下の意見なんて有っても無くても同じではないか?」という不平不満がたまりやすいと思われます。

そんな中で、チームとして解決すべき共通の課題について、上司から「これ、どう思う?」と尋ねられる機会は、部下にとっては「よぅし、ここで一発面白い意見を言ってやろう」というモチベーションの向上にも繋がりますし、何より上司より部下が現場に近い位置にいて、課題や状況を把握している可能性が非常に高いわけですから、解決につながるアイデアも出る確率も格段に上がることでしょう。

逆に部下から上司にブレーンストーミングを求めると…

逆方向、つまり部下から上司に対してブレーンストーミングを求めると、少しまずい方向にいってしまうかもしれません。理由は、部下が上司に対して「これ、こうなんですけど、どう思いますか?」と尋ねると、上司は部下に対して「こいつなんも考えてないな。丸投げしようとしてるな」と思われてしまうかもしれないからです。

真面目とカジュアル、2つブレーンストーミングを併存させる

ブレーンストーミングそのものは使い所が2つ有ると思いました。1つはガチモードで、直面している課題を解決するためのアイデア出しです。もう一つはアイスブレイクの延長線上で、質問自体を突飛なものににするというものです。これは世間話のためのツールとして位置付けた方が良いかもしれませんね。

まとめ

日頃、自由なアイデアを出す機会というのは、それほど求められていないというのが現状です。日頃から自由なアイデアを言いまくっていると、それはそれで「あいつは実現不可能なアイデアばかり出して、仕事した気分に浸っている」と思われてしまうリスクが生じてしまいます。

ブレーンストーミングは、息抜きのお遊び程度がちょうど良い位置付けのツールでしょう。また、視野の狭い質問からは平凡な答えしか出ません。

どのようなブレーンストーミングをするにしても、チームのメンバーがブレーンストーミングを知っており、かつ経験しており、「あ、今日はブレーンストーミングなんだな」といった雰囲気の中でアイデアを出し合える職場というのは、とても素敵だと思います。「今日は」というところがポイントで、そのチームは、ブレーンストーミング以外にもアイデア出しのツールを複数持っていて、かつ経験していないと「今日は」という言葉には辿り着けないからです。

また、世間話の中で突発的に始まったブレーンストーミングにおいて、

  • これは単なる世間話だな
  • これはコミュニケーション促進のためのユル版ブレーンストーミングだな
  • これは目の前にある問題解決のためのガチ版ブレーンストーミングだな

といったモードの使い分けを、各メンバーがその場の空気を察してできるようになったら、それはとても素晴らしいことでしょう。

一概にブレーンストーミングといっても、「なんのためにブレーンストーミングするか」という位置付けは非常に重要であることがわかりました。

ブレーンストーミングをTPOに応じてアレンジし、時には「今回は少しだけクローズよりのブレーンストーミングにしよう」といったように条件を巧みに設定し、できるだけ自然な形で職場において実行してみることは、円滑なコミュニケーションを維持するためだけではなく、本当に強いチームになれる土台を創り上げることができるようになるかもしれません。

ブレーンストーミングで全てが解決するわけではありませんが、非常に知名度の高いツールであるブレーンストーミングを有効活用することによって、あなたの職場の環境が良くなる可能性はとても高いと思います。

あなたに、ブレーンストーミングの恩恵がありますように。

最後までお読みいただきまして本当にありがとうございました。

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